多民族国家で感じること
今年に入ったばかりの頃、自立を目指そうと考え始めた。心から思った。
それはIRD(国税局)からの督促を受けたりしていた頃だった。
2016年にニュージーランドで子どもを出産して、家族に顔を見せるために日本に帰国、それで2年半ほど生活をしていた間、全期間ではないが、子育て補助金をうっかり受給し続けていた。
IRDにはメールなどで帰国すると伝えていたはずだったが、サイトにログインしてステータス?を変更する必要があったようだ。
昨年ニュージーランドに来て、何の疑問も抱かずに生活し始めたのがよくなかった。銀行のサイトにログインして、入出金明細を見てからにすればよかった。
そしてある程度お金を使って生活してからWINZ(ワークアンドインカム)に言って住居費補助やその他の社会保障給付金の申請をしたことで、IRDから手紙をもらいそこから長いやりとりがあったのだった。
1年ほどの間にうっかり受給した金額は6000ドルぐらいだったか、それを公費を受け取る身として毎週返済していくのがとても大変だった。WINZに戻って"実は負債がないと思ったらありました、低利でお金を貸してください"なーんて言えるわけがない。
返済を怠ると、容赦なく利子を乗せてくる。
もう容易に借りたくない。
IRDには返済しますという姿勢を見せる。少しでも貯まったら返すをしていった。
子どもの衣料品、おもちゃはOPショップで買う、
外食はなるべくしない、
生鮮食品は旬の安いものかまたは値引きのものを買う、
車は大気汚染防止のために?!持たない、
子どもには"電気自動車を買うからねー”と言い続ける、
道端に置いてある他人の不用品が必要なときはもらう、
などを繰り返していった結果、1年かからずに全額返済した。
ホッとして年末年始が過ごせるかなと思った頃、IRDからペナルティ数千ドルの請求書が届いた。。
完済したけど、うっかり受給うっかり使用したためにペナルティか。
そして毎週メールが届いた。
しばらくうっかり放って置いてからメールを開けてみると、
毎週加算されるペナルティ支払い遅延に対する利子、容赦ない。
IRDに電話して状況を説明した。
IRDとはこれだけでなく、
しばらく前に借りた学生ローンの膨れ上がった利子の件でも連絡をとったこともあった。
それを完済してからの、
子育て補助金うっかり受給の返済、
そしてそのペナルティ。
これを読んだ人は、"なんてズボラ過ぎて管理能力のない人だろう"と思うに違いない。。
それを覚悟してのブログ記事投稿なのである。
そしてこの、私にとっては一大事も、
ブログ読者にとってはどうでもいいことであるに、
違いない。
タイトルともずいぶんかけ離れている内容に、
違いない。。
そしていそがしい日々を送る現代人にとっては、文字通りのズボラが招いた失敗談を読んでる暇はない。
そうに違いない。。
こりずに話を元に戻す。
子育て補助金をなんとか完済してからのペナルティの話が湧いて出てきて(と当事者として感じた)、これは悪意があって受給したわけではないということをはっきりと示さなければならないと思った。
この国の補助金や制度に詳しい人ならば、きっとIRDサイトにログインして、転出がちゃんとなされているか確認していたはずだ。
混み合っているIRDに電話して、自動音声に従って時間の都合がつく日にちと時間を選択して、IRD担当者からの電話を待つことになった。
その日、駅の近くの人気の少ないバス停で電話を待った。
"ペナルティについて釈然としない"
"現在の自分の支払い能力を超えている"
"そもそもメールにてこの国を離れると連絡した"
などなど、決して完璧じゃないブロークンイングリッシュでキーポイントを言った。
"ええと、よくわからないので通訳を呼びます。母国語はなんですか"
あー、やっぱりIRDとは通訳越しで話すことになった。。
昨年後半はIRD担当者と電話で話し合えるようになりたいという目標を持って臨んだ英語学校だった。。
その努力も虚しくIRDが通訳を探す間に流れる保留音(歌付きの音楽、著作権フリーなのかな?)を仕方なく耳にしながら、気持ちをよて、何を伝えなくちゃいけないか思い出そうとしていた。
平日の昼前は皆さんいそがしいのか保留音が5分以上続いて、
"わたし何やってるんだろ"
と思ったところで
"お待たせしました、本日通訳を務めさせていただく〇〇と申します。"
通訳者のおかげで思いのほか順調に要件を伝えることができた。
“どうもありがとうございました。おかげさまで助かりました。"
要件は思いつく全てが担当者に伝えられ、担当者はペナルティが免除されるとは限らないと言ったが、現在加算されているペナルティ300ドル程を支払う義務があるということと、現在の経済状況を報告するための書類を提出するようにとのことだった。
"Thank you for your call. Have a good day!”
担当者が電話を置こうとした瞬間、
ちょっと待ったー!!
学生ローンを完済した件も、やはり現在の経済状況を圧迫している要因として改めて伝えなくては、と思った。
学生ローンを管轄するStudylinkはIRDの管轄であるが、話が通ってるのかなと思うときがあった。
学生ローンの支払いは後で良い、という学生思いのシステムと思いきや、受講料の利息とペナルティが加算し始めるときに連絡も何も来ず、結局3倍近い金額を支払わなくてはならなかった。
ここは、念を押さないといけない。
IRD担当者は、言った言わない、わかったわからないにならないようにだと思うが、すぐにトランスレーターを探すという。
昼時にどうかと思われたがすぐに手配ができたようだ。
"はい今回通訳を務める△△です。
ななさんはペナルティを軽減したいんですよね。"
"はい、それで先に完済した学生ローンについても今回の申請書類に記載したほうがいいかなと思うんですがー"
きっといそがしい時に通訳を引き受けてくれたのか、少々グイグイと押してきた。
頼りになります。
学生ローンの件で、
担当者さん、ちょっとそこ違う!
という時に私のブロークンイングリッシュで一言はさんだ。
"なーなーさん、
だーかーらー
あなたは人の話をよく聞いてないからこういうことになるんですよ。
いいですか、
わたしが通訳者ですから
わたしを通してくださいね、
いいですか!"
は、はい??
一瞬ふと我にかえった。
通訳者がご機嫌斜めなのか?
何があったのかわからないが、ちょっと口をはさんだら、そういうふうに通訳者に言われている自分てなんだろう?!
こういうことそれまでになかった。
言葉がIRD基準に満たないと、たまにこういう通訳者が出てきて、こういうことを聞かされなくてはいけないのだろうか。。
"あ、、はい。すみませんー。"
その通訳者のやり場のない怒りのようなものは、残念ながらその後も続いた。
人のことで自分の心の平安、平穏がかき乱されずにハッピーで居られるハードルは低ければ低いほどいいのだろう。
"ですからわかりましたか?提出すればいいんですよ。提出すれば。では切りますねっ。"
いや、もっと激しめで、内容はもうそれほど大したことないことを、キツく言える技能検定があるならば間違いなく1級が取れる人だった。。
ご家庭で何かちょうどあったときに通訳のお仕事をもらっちゃったのか。
でもそういう人に限って何かにおびえている、と思った。
たどたどしくIRD担当者に以下のことを伝えた。
"今の通訳者のレベルは意味もなくキツく、
彼女のイライラを私にぶつけていて、
これまでにない酷いレベルだから、
他の人のためにこれから使わないでください。"
IRD担当者も何やら異質な空気を読んだようで、短く
"okay"
と答えた。
相談内容とは全く別の件で意思疎通ができるとは、どうでもいいことだがニュージーランドの移民政策を容易に進める手段の一つである通訳サービスの向上に少しでも寄与できればと思う。
"I, I’m here..”
は、あんた電話切ったんじゃないの??
家族のいざこざやどうでもいいけどそのままにしておくとモンスターが自分の口から出てきて人を傷つけるという状況は、避けたい。
どうでもいいことに耳を傾けて、いや、傾けなくても、耳を貸してくれたり、聞いてるフリをしてくれるだけでも、そういったモンスター出現を食い止めることができるかもしれない。
通訳者を介して感じた。
そしてそういうエネルギーを引き寄せている状況を人知れず心の中で嘆いた。
その頃はブログを始めようなんて少しも考えてなかった。
今の私にとってはこのブログが一つの吐け口になっていると思う。。
話を戻すとー。
IRD担当者との会話で、さらに疲労度を上げた一方で、子育て補助金のうっかり受給に対するペナルティの免除申請がどういうものかわかった私は、更なる大きな課題に向けてすぐさま取り組まなければならなかった。
申請準備に取りかからなくては、毎週加算されるペナルティの利息も更に膨れ上がってしまう。。
おつかれたー。
疲労感に浸っている間もなく、
早く行動を起こさなくてはーー、
金額が膨れ上がってしまうーーー。
足早に町の図書館に急いだ。
いつも目に入る展示物もその日は興味をそそらなかった。
と、人とぶつかりそうになった。
ソーリー。
はっ!
見ず知らずの人、
南国風の(ニュージーランドで言うと北国風の?)ドレスを着て、
髪を整えて片方の耳のあたりに原色の赤のハイビスカスを挿した初老のご婦人と
ぶつかりそうになった。
先方は特にびっくりすることもない様子で、ゆつくりと大きな笑みで私をかわした。
この原色使いの達人にばったり出会い、ふと目にした瞬間、膝から崩れ落ちそうになった。
なんだろう、
ハッピーバリアが20センチぐらい身体から出ていて、
きっとそのご婦人には何もぶつかってこないだろう。
こういう人のことを無敵、というのだろう。
この方に出会えて、
ニュージーランドやっぱり好きかも、
と思った。
そして、
なんだろう。
固定観念で、
ペナルティが毎週膨れ上がることにおびえて、
この数日それ以外のものが見えていなかった。
楽しまないと。
人生楽しいことに目を向けた者勝ち。
世の中想像を超えたところでいろんな人たちがいる。
まだ知り得ぬ愉快な人たちがいる。
いろんな人たちがいて、私がいる。
そういう間抜けがいてもいいじゃない。
私のことをよく知りもしないで強い口調になってくる人がいて、楽しいじゃない。
その日のMVPは間違いなくトロピカルなご婦人だった。
気持ちを入れ替えることができた結果、簡単じゃないと思われたペナルティ免除申請もその日に完成し、提出し、翌月利息の一部を支払ってからペナルティ免除となった。
この件は終了しましたとメールが来たとき、やっと解放されたと思った。
いや待てよ、
経済的な自由を得て本当に解放されるんだと思った。
そして出来るだけ早く自立したいと思った。
既存の仕事にとらわれなくてもいい、これからの仕事のカタチを探ろうと思った。
多民族国家で感じること、
いろいろあってそれでいいー。